上野にあります
東京国立博物館で開催中の
「北京故宮博物院200選」に行ってきました。(2012年2月19日まで開催)

いやあ、かなりの人が多く、肝心の「清明上河図」を見ようとするも、途中でリタイアしてしまいました。24日まで展示なので、もし行ける方がいらっしゃいましたら、お早めに。かなり評判が高い作品ですからね。
とはいっても、他にも、ちょくちょくと面白い作品があったので、この展覧会は行って損はないと思います。
一番の見所は「書」と「乾隆帝の美意識」個人的には、この展覧会の見所は、
一番最初のセクションでの黄庭堅の書、そして徽宗の痩金体と呼ばれる、金属質で細い書のあたり。そして、乾隆帝が集めた、数々の名品を自分の周りに配置した
「乾隆帝是一是二図軸」です。
書については、自分はあまり詳しくないのですが、それでも書の持つリズムや自由な造形は非常に魅力的に思えました。また、風流天子と呼ばれた徽宗についは、昔、「マンガ中国の歴史」を読んで非常に気になっていた人でして、今回、実物を見られたのは貴重な体験でした。
また、乾隆帝の軸の中でも、特に名品だと思ったのは、玉で作られた「玉璧」です。小さいものですが、色の移り変わりは広大な宇宙を思わせる深みがあります。いつまで見ても見飽きない。歴代の皇帝たちも、自らを省みるためのツールとして、この玉を眺めていたのでは・・・。と夢想しました。
ちょっと変わったところですと、乾隆帝や雍正帝が、漢民族や一般人の服装をしている、「コスプレ写真」的な絵画も展示してあり、なかなか面白い。人間、自分ではない者の服を着て遊ぶ、という欲求は古今東西持っているのですね。
時間をかけてみるべし 基本的に、清明上河図もそうなのですが、ここに展示してあるような作品は、もともと展覧会で見せるものではありません。皇帝などが、プライベートな場所などで、じっくりと楽しむために作られたものが多いわけです。
必然的に、どの作品も、じっくりと見て、その境地に遊ぶことが主になっているものだと思います。なるべく時間をかけて、途中で休憩しつつ見るか、あるいは気になったものを集中的に眺めてみることがオススメだと思います。流して見ていくだけでは勿体無いと思いました。
さすがの展覧会構成また、さすがだと思ったのは、最後のセクションに中華史上最大の版図を誇った清朝を入れ、わざわざ1セクションを使ってチベットを入れてきたところ。このあたりの中国外交はさすがですね。つまり、清朝時代には自分のところだったからチベット占領が正統だという、アピールの場になっております。ところが、実際に出展作を見ると、「中国もの」は清朝と元朝のみ。「一級文物」は1点のみ。関わりの薄さと文化的に重要視していないことが見えますが、これって趣旨としていいのでしょうかね?
総合評価 ★★★
中華系の古典美術がお好きな方で、北京まで行くことがない方は是非。また、書が好きな方は見逃せません。行くべきです。ですが、その他の方はマストではありません。一つ一つのセクションは小さいので、陶芸や歴史好きの人は不満が残ります。まあ貴重なコレクションのダイジェストなので、致し方ないところはあります。
また、清朝ものが多いので、思ったより古いものが少ないのも難点。そして、混雑しているので、事前にサイトで出品作を見て判断されたほうがよろしいかと。
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