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2012年3月18日まで横浜美術館で開催されいます
松井冬子展『世界中の子と友達になれる』」を見に行ってきました。

松井さんは日本画家なのですが、人物造形は
伝統的な日本画よりも、むしろルネサンス期の絵画をを思わせるような
写実的で静かなタッチでした。

けれども、そこに宿った美しき狂気。それを浴びに行くのが
本展覧会の大きな魅力でしょう。

 

本展覧会が初の大規模個展ということで、
主要な作品はほぼ網羅されているようです。

個々の作品としては、たとえば展覧会のタイトルにもなっている
「世界中の子と友達になれる」を間近で見られることも
良いポイントです。

離れた場所から大きく見てみると、
「ああ、乳母車と・・・少女?藤の花か・・・」
と思って近づいてみると
「ゲゲッ」となるわけですね。

これは、まだ図版等で見ていない方は、
そのまま見ないで、ファーストコンタクトを実物で
体験されることをおすすめしたいです。

どの作品も、やはり微妙な色や影を楽しめることから、
ナマで見る価値が大きいと思います。

特に、臓物が描かれた一連のシリーズと向き合うとき、
妙にゾクゾクときました。

別に、グロいからとかではなく
その細かく生々しい描写の中にも、
どこか冷たい感じがするのです。

ちょうどダ・ヴィンチや解剖学の図版のように、
どこか自覚的に興味を持って冷静に「対象物」として
自分自身を俯瞰しているような。


それは、この展覧会で作品の下絵などの製作過程も展示されている
わけですが、そこにも現れております。

解剖された動物や人間の臓器といったものの
細密なデッサン、執拗な描写。
あるいは、何パターンも構図が試された
「世界中の子と友達になれる」など。

松井さんの「産みの苦しみ」を垣間見ることで、
作家のテーマとの向き合い方を感じられます。

それは、静かな狂気とともに、そうした自己と
冷静に対峙するというクリエーションの深淵、
ぎりぎりのところでの戦いなんだと思いました。
いわば、この展覧会自体が、そうした
松井さんの戦いの記録なんでしょうね。


それを下支えする展覧会の構成も良かったですねえ。
(詳細は見てのお楽しみ)

また、展示物には松井さん自身の解説がついたものも
多く、より作品の背景や意図がわかりやすくなっていました。

ポスターなどに何か感じられたら、すぐ横浜まで
行かれることを、強くお勧めします。

総合評価 ★★★★(4/5)
生きづらい現代に生きる、すべての人に見ていただきたい展覧会。
悩んでいる人であれば、松井さんの作品に共感できると
思いますし、特に自分を追い詰めてしまうような人には
松井さんの作品が狂気の「代償行動」と感じられるかもしれません。

今まで松井さんの作品を生で見ることは2006年の「MOTアニュアル」以来
なかったのですが、かなり衝撃を受けました。

昔、村上隆さんのカルティエでの展覧会を見たときに感じた
「現代とのシンクロしている感」を、久々に、強烈に感じることが
できた展覧会でした。

ただ、若干、見る人を選ぶところがありますので、
そこだけは要注意でしょう。とは言っても、それだけの
パワーがなければ優れた作品と言いづらいというのも
ありますけど。





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デザインやモバイルガジェットと読書が好き。特にテーマを絞らず、色々と書いてみようかと思っております。
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