Suicaのペンギン、カクカク・シカジカ、ちーばくんなどの人気キャラクターをデザインしてきた、坂崎千春さん。
その創作の秘密を惜しみなく公開しているのが、この「イラストのこと、キャラクターデザインのこと。」です。
いや、これはキャラクターデザインをしたいと思っている人やクリエイター志望の方には、ぜひオススメしたい本ですよ。
なぜかというと・・・・

決してキャラクターデザインのテクニックだけではなく、そのキャラクターが、どういったクライアントのために出来ているのか、ということが考え抜かれていく過程とクリエイティビティの調和が、ちゃんと紹介されているところです。坂崎さんのキャラクターは、どれも純粋にキャラクターだけで完結しているものではなくて、CMなど企業や団体のビジネスに使われるキャラクターがメインとなっています。
ということは、そこには必ずクライアントがいるわけです。
ま、それは当たり前なのですが、「クライアントが何を欲しがっているのか」「広告代理店のクリエイティブディレクターが何を考えているのか」といったニーズをくみ取りながら、自分の得意なデザインに落とし込んでいくところが、実はこの本の醍醐味なんじゃないかと思った次第。
特に、後半部分は実際にカクカク・シカジカやチーバくんが出来るまでを、ケーススタディとして、みっちりと紹介してあります。
求められるキャラクターをデザインするだけではなく、そのデザインが、どう使われるかという部分まで考えてデザインしていく過程は、クリエイティブで名をなそうとする方には、必読といってもいい、絶好のケーススタディとなっていると思います。
もちろん、坂崎さんのデザインテクニックは前半でみっちりと紹介してありますので、純粋に「Suicaのペンギン」などの坂崎キャラクター好きの人も楽しんで見られること、うけあい。
たとえば、
1.手描きのような質感の「ブルブル線」
2.より手描きらしい「完全ブルブル線」
3.幾何学的な弧を描く「ペジェ曲線」
といった線をつかってキャラの質感を出して描いていくわけです。
確かに坂崎さんのキャラクターをよく見てみると、「なるほど!」と
思うようなテクニックの種明かしになっています。
もちろん、それらのテクニックも、単に自分の得意技だったからではなく、デザインするキャラクターのコンセプトに合わせた表現方法を探しながら、自分が納得するものに仕上げていく過程で選んだものです。
と、同時に、そのテクニック自体が坂崎さんのトレードマークのようにも機能している・・・・。確かに、それだから手の内をここまで教えてくれているのかも。
そして、今度はパソコンを使って、色を組み合わせながら、より納得できるものを探していくんですね。
このあたりの制作手法まで、事細かに公開しているのは、キャラクターデザインを志しているひとには、とてもありがたいところだと思います。
もちろん、純粋なクライアントのいないキャラクターデザインや、「萌え」的なキャラクターデザインとは別種のテクニックだと思いますが、だとしても、後半部分の「クライアントや他のクリエーターとの協業」がある部分なんかは、非常に役立つ部分だと思います。
少なくとも、こういった過程を考えずに(もしくは軽く考えて?)突っ走って時間を浪費するような方も多いとは思うので・・・
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